研究・技術・自分のマネジメント
(化学工学特論第一)
ようこそ.化学工学特論第一『研究・技術・自分のマネジメント』へ.
本講義で私が目指すのは,受講生が研究者や技術者として成功するための基盤を構築することです.諸君は今後,知識労働者として社会貢献していきます.したがって,知識が不可欠であることは疑う余地もありません.大いに勉強に励んで下さい.しかし,知識を与えることが本講義の目的ではありません.大学教員としての私が為すべきことが,知識を与えることだとは思っていないからです.
本講義では,論理的に考える力,問題を解決する力,人を説得する力,そして自分自身を律して成果をあげる力をどうすれば身につけられるか,私も含めた参加者全員で考えていきます.講義ではなく,演習や討論が中心となります.力をつけることが目的ですから,みずから積極的に取り組まなければ,講義室に来ても全く意味がありません.講義時間内の演習や討論だけでも十分ではありません.日々の実践を通して,はじめて力をつけることができるのだと思います.
(第一回講義配付資料「序論」より)
講義概要
研究者や技術者としてキャリアを積もうとする学生を対象に,自分自身の能力を高めると共に,研究・技術・自分をマネジメントするための方法論を解説し,演習を通して実践力を養成します.本講義で取り上げるテーマは,論理的思考,問題解決,プレゼンテーション,技術と研究のマネジメント(技術経営),そして自分自身のマネジメントです.
- 評価方法
受講態度(積極性)およびレポートに基づいて判定します. - 最終目標
研究者や技術者として成功するための基盤を構築すること. - 教科書
資料を配付します. - 予備知識
知識は必要ありませんが,学ぶモチベーションが不可欠です. - その他
学外の方(起業家やコンサルタント)に講演していただくことも検討します.
講義計画
- 趣旨説明
本講義の目的を明らかにし,受講生に何を求めるのか,何を与えようとするのかを宣言します. - 論理的思考
研究者や技術者を含めた知識労働者として,論理的思考力は必ず身に付けておかなければらない能力です.本講では,論理的に考えるための技術(ツリーやMECEなど)について解説し,例題や演習を通して,論理的思考法を習得してもらいます. - 問題解決
論理的思考は重要ですが,それ自身は目的ではありません.本講では,論理的思考による問題解決の技術について解説し,例題や演習を通して,理に適った問題解決の道筋を習得してもらいます. - プレゼンテーション
研究者や技術者にとって,あるいはビジネスパーソンにとって,プレゼンテーション能力は極めて重要であり,そのキャリアに大きな影響を及ぼします.良いプレゼンテーションを行うためには,何よりもまず,中身が伴わなければなりません.しかし,それだけでなく,説明が説得力を持つためには,説明が論理的でなければなりません.さらに,話し方が魅力的であることも重要です.本講では,プレゼンテーション能力を高めるために必要な心構えや技術について解説します. - 技術と研究のマネジメント(技術経営)
技術経営(Management of Technology)の必要性と概要を講述した後,経営戦略,技術戦略(コア技術戦略),イノベーション理論,組織マネジメントなどについて解説します.さらに,戦略立案に役立つツールとして,ポートフォリオ分析(PPMマトリクス),要素技術マップ,4C分析(顧客価値分析),ビジネスシステム分析などを紹介し,ケース演習を通して,技術経営の基本を習得してもらいます. - 自分自身のマネジメント
研究者・技術者として,組織で働く知識労働者として,成果を出すための考え方や行動スタイルについて解説します.さらに,より本質的な問題として,勉強すること,働くことの意味について討議し,生き方について考えます.
講義資料
- 第一回講義配付資料(本講義の趣旨) [PDF 297KB]
- 論理的思考 [PDF 186KB]
- 論理的思考:ハイブリッドカーの是非 [PDF 288KB]
- 第1回特別講演:「ビジネス活動と研究活動の関係」 [PDF 72KB]
- 第2回特別講演:「人生は経営~自分を経営するにあたって大事なこと」 [PDF 63KB]