プロセスデータ解析学
大学院修士課程プログラムにおいて,2009年度から新たに「プロセスデータ解析学」を開講します.実施中の数多くの共同研究での経験をふまえて,習得必須の基礎知識から産業応用即戦力までを伝授・養成することを目指します.
講義概要
操業データを活用して,製品品質予測,異常検出と診断,生産性向上などを実現するための方法論の修得を目的とする.確率・統計学の基礎,相関分析,回帰分析,多変量解析(主成分分析,判別分析,PLSなど)の基本手法,およびその応用(ソフトセンサー設計,多変量統計的プロセス管理など)について講述する.
- 評価方法
レポートと期末試験結果を総合的に判断して評価する. - 最終目標
データ解析手法を修得し,ソフトセンサー設計や多変量統計的プロセス管理などに応用できる力を身に付ける. - 教科書
資料を配付します.
講義計画
- 「プロセスデータ解析学」とは
講義の目的と内容を示し,データ解析の活用事例を紹介します. - データ解析のための準備
平均,分散,相関係数,確率分布(特に正規分布),期待値など統計学の基本を解説します. - 点推定と区間推定
推定量が備えるべき性質である不偏性,一致性,有効性,さらに推定方法であるモーメント法と最尤法を解説します.さらに,平均,分散,相関係数の区間推定について解説します.また,その応用として,工程能力指数の区間推定についても解説します. - 回帰分析
2変数間の因果関係を探るための単回帰分析について解説します.さらに,重回帰式の構築と評価,偏回帰係数の意味と区間推定,説明変数の選択方法について解説すると共に,多重共線性の問題を指摘します. - 多変量解析
主成分分析および主成分回帰,PLS,判別分析,独立成分分析など主要な多変量解析について解説します.また,重回帰分析,主成分回帰,PLSの比較を行います. - 推定モデルの構築
データ解析(主にPLS)の応用として,産業応用事例を交えながら推定モデル(ソフトセンサー/バーチャルセンサー)の構築方法について解説します. - 多変量統計的プロセス管理
管理図について紹介すると共に,データ解析(主に主成分分析)の応用として,産業応用事例を交えながら多変量統計的プロセス管理について解説します. - 品質改善に向けた取り組み
総合的品質管理とシックスシグマ,独立成分分析の活用,ベイジアンアプローチなど,産業応用事例を交えながら,より新しい話題を紹介します.